五代友厚 マンチェスター(足跡篇)
Godai Tomoatsu, Manchester (Footprints)

五代友厚がイギリス国内視察中に滞在したマンチェスターを歩きました。ロンドンのユーストン駅(Euston Station)からマンチェスター・ピカデリー駅まで列車で2時間余り、当時の列車でも4時間ほどだったようです。

I walked around Manchester to see the places Godai Tomoatsu may have visited.

マンチェスターで古くからあるホテルとしては、パレス・ホテル(The Palace Hotel)、 現在のプリンシパル・マンチェスター(The Principal Manchester)が有名ですが、この建物は1895年に建てられたものです。

プリンシパル・ホテル
プリンシパル・ホテル(元パレス・ホテル) The Principal Hotel (ex The Palace Hotel)

ほかにもブリタニア・マンチェスター・ホテル(Britannia Manchester Hotel)、アボード・マンチェスター(ABode Manchester)、ラディソン・ブルー・エドワーディアン・マンチェスター・ホテル(Radisson Blu Edwardian Manchester Hotel)、マンチェスター・マリオット・ビクトリア&アルバート・ホテル(Manchester Marriott Victoria & Albert Hotel)などが19世紀の建築としてあげられますが、これらの建物は五代らが訪れた1865年にはまだ存在していないか別の用途で使われていました。

ミッドランド・ホテル・マンチェスター(Midland Hotel, Manchester)はもとよりホテルでしたが、完成したのは20世紀初め。つまり、1865年当時のホテルで現在まで残っているものは見つかりませんでした。

ミッドランド・ホテル・マンチェスター
ミッドランド・ホテル・マンチェスター The Midland Hotel, Manchester

今のマンチェスター市庁舎(Manchester Town Hall)は、ロンドンのセント・パンクラス駅(St. Pancras Station)などと同じネオ・ゴシック様式の建物で、1868年から1877年にかけて建設されたものです。先代の市庁舎はキング・ストリート53番地(53 King Street)にありましたが、建物自体はもう残っていません。

マンチェスター市庁舎 東側
マンチェスター市庁舎 東側 The Manchester Town Hall, East side

キング・ストリートのすぐ北にある聖アン教会(St. Ann’s Church)は、18世紀初めよりこの地にありました。

聖アン教会
聖アン教会 St. Ann’s Church

聖アン教会から北向きにロイヤル・エクスチェンジ・シアター(The Royal Exchange Theatre)、元王立取引所(The Royal Exchange)の建物が見えます。現在は劇場やレストラン、店舗などとして使われています。現在建っているのは3代目で、1865年当時同じ場所にあった2代目は、円柱をアクセントに丸みを帯びた形をしていました。円形の部分が大阪取引所の外観に少し似ています。

ロイヤル・エクスチェンジ・シアター北西
ロイヤル・エクスチェンジ・シアター北西 The Royal Exchange Theatre, North-West
ロイヤル・エクスチェンジ・シアター
ロイヤル・エクスチェンジ・シアター The Royal Exchange Theatre

さらに北に進むと、ショッピングモールの向かいにりっぱな穀物取引所(The Corn Exchange)の建物があります。今はレストランとして使われています。

マンチェスター穀物取引所
マンチェスター穀物取引所 The Corn Exchange, Manchester

穀物取引所のすぐ北側が、1844年に開業したマンチェスター・ビクトリア駅(Manchester Victoria Station)です。一見昔のままですが、中に入るとトラム駅の部分は真新しくたいへん斬新なつくりになっています。

マンチェスター・ビクトリア駅
マンチェスター・ビクトリア駅 Manchester Victoria Station
マンチェスター・ビクトリア駅構内の列車路線図
ビクトリア駅構内の列車路線図 Railway Map at the Manchester Victoria Station

大マンチェスター商業会議所(Greater Manchester Chamber of Commerce)は、ディーンズゲート(Deansgate)とジャクソンズ・ロウ(Jackson’s Row)が交差したところにあるエリオット・ハウス(Elliot House)に入っています。1878年の建築でこれまでは教育委員会や登記所などが使っていたようです。商業会議所の場所は転々としていますが、ここに移転したのは2014年の冬とのことです。

エリオット・ハウス
大マンチェスター商業会議所が入るエリオット・ハウス Greater Manchester Chamber of Commerce in Elliot House

大マンチェスター商業会議所マンチェスターのメインロードとも言えるディーンズゲートにウォーターストーンズ(Waterstones)という大きな本屋さんがあります。マンチェスター関係の本がよくそろっていて、カフェも併設されています。落ち着いた雰囲気でゆっくりくつろぐことのできる場所です。また、マンチェスター市内はメトロシャトル(Metroshuttle)という無料バスが走っていて、移動にたいへん便利です。

<住所>
プリンシパル・マンチェスター・ホテル(The Principal Manchester Hotel):Oxford St, Manchester M60 7HA
ミッドランド・ホテル(The Midland Hotel):16 Peter St, Manchester M60 2DS
マンチェスター市庁舎(Manchester Town Hall):Albert Square, Manchester M60 2LA
聖アン教会(St. Ann’s Church):St Ann St, Manchester M2 7LF
王立取引所、現ロイヤル・エクスチェンジ・シアター(The Royal Exchange Theatre, Manchester):St Ann’s Square, Manchester, M2 7DH
穀物取引所(The Corn Exchange):Exchange St, Manchester M4 3TR
マンチェスター・ビクトリア駅(Manchester Victoria Station):Victoria Station Approach, Manchester M3 1WY
大マンチェスター商業会議所(Greater Manchester Chamber of Commerce):Elliot House, 151 Deansgate, Manchester M3 3WD

1 いいね Like

 

五代友厚 マンチェスター(2)
Godai Tomoatsu, Manchester (2)

王立取引所1866年 The Royal Exchange, Manchester, 1866 (Manchester Local Image Collection)
王立取引所1866年 The Royal Exchange, Manchester, 1866 (Manchester Local Image Collection)

五代友厚は、明治9年(1876年)11月に堂島米会所(The Dojima Rice Exchange)を復興させ、明治11年(1878年)8月に大阪株式取引所(The Osaka Stock Exchange)の発起人、同年9月には大阪商法会議所(The Osaka Chamber of Commercial Law)の初代会頭となった。マンチェスターでそれぞれ類似するものといえば、穀物取引所(The Corn Exchange)、王立取引所(The Royal Exchange)、商業会議所(The Chamber of Commerce)になる。

マンチェスター穀物取引所
マンチェスター穀物取引所1850年頃 The Corn Exchange, Manchester, c1850 (Manchester Local Image Collection)

穀物取引所と王立取引所は、建物は異なるが今も同じ場所にある。現在ディーンズゲート(Deansgate)にある商業会議所は、当時はキング・ストリート(King Street)にあるヨーク・チェンバーズ(York Chambers)で会議を行っていたと新聞あり、ここに事務所を構えていたのだろう。

イギリスではすでに存在したが、日本においては明治時代に初めて設立されたものに銀行、郵便局、病院、庁舎などがある。五代らが訪れた1865年のマンチェスターには、それぞれイングランド銀行(The Bank of England)、郵便本局(The General Post Office)、王立病院(The Royal Infirmary)、マンチェスター市庁舎(Manchester Town Hall)があった。

マンチェスター市庁舎
マンチェスター市庁舎1860年 Manchester Town Hall, 1860 (Manchester Local Image Collection)

イングランド銀行はキング・ストリートに今も当時の建物が残っている。イングランド銀行と同じ通りの斜向いには、かつての市庁舎があった。郵便本局はスプリング・ガーデンズにあったが、現在は高層ビルの一角に郵便局が残るのみである。王立病院は、現在のピカデリー・ガーデンズにあった。つまり、王立病院が移転した後が園庭となったのである

Godai Tomoatsu contributed to the restoration of Dojima Rice Exchange and the establishment of Osaka Stock Exchange.  He became the first chairman of Osaka Chamber of Commercial Law in 1878. Similar places in Manchester would be the Corn Exchange, the Royal Exchange and the Chamber of Commerce respectively.

<参考文献>
Jonathan Schofield, “Manchester Then and Now”, 2009
Manchester Courier and Lancashire General Advertiser, 12 August 1865

  いいね Like

五代友厚 マンチェスター(1)
Godai Tomoatsu, Manchester (1)

マンチェスター・ロンドン・ロード駅
マンチェスター・ロンドン・ロード駅1866年 Manchester London Road Station, 1866 (Manchester Local Image Collection)

五代友厚らは英国内を視察中、バーミンガム(Birmingham)で銃や双眼鏡、マンチェスター(Manchester)で木綿紡績機械などを購入した。また、マンチェスターの南に位置するマクルズフィールド(Macclesfield)やオルダリー・エッジ(Alderley Edge)で絹糸紡績や鉱山を見学したことが当時の新聞で伝えられている。しかし、マンチェスター市街で訪れた場所を記録したものは今のところ見つからず、特定することは難しい。滞英当時の1865年に存在し、また五代が日本に戻った後深く関わった事業から推し量ると次のようなところだろうか。

当時、ロンドンからの列車のほとんどはマンチェスター・ロンドン・ロード駅(Manchester London Road Station)に到着した。現在のマンチェスター・ピカデリー駅(Manchester Piccadilly Station)である。マンチェスターの中で最も乗降客が多いこの駅は、ストックポート(Stockport)やマクルズフィールドへ行く列車の発着駅でもある。一方、北へ行く列車は、街の北西、大聖堂の近くにあるマンチェスター・ビクトリア駅(Manchester Victoria Station)を起点とした。リバプール(Liverpool)やオールダム(Oldham)へ行く際はこの駅を利用する。

マンチェスター・ビクトリア駅
マンチェスター・ビクトリア駅1870年 Manchester Victoria Station, 1870 (Manchester Local Image Collection)

五代らが泊まったホテルの名前はわからないが、当時の旅行ガイドブック「ブラッドショウズ・ガイド(Bradshaw’s Guide)」を見ると、マンチェスターのホテルとしてクイーンズ(Queen’s)、アルビオン(Albion)、パラタイン(Palatine)、クラレンス(Clarence)の名があがっている。これらは一流ホテルだが、マンチェスターには他にも多くのホテルがあったので、必ずしもこれらのうちのどれかというわけではない。クイーンズとアルビオンはピカデリー・ガーデンズ(Piccadilly Gardens)近く、パラタインはビクトリア駅近く、クラレンスはスプリング・ガーデンズ(Spring Gardens)沿いにあった。

クイーンズ・ホテル
クイーンズ・ホテル 1866年 Queen’s Hotel, Manchester, 1866 (Manchester Local Image Collection)

Godai Tomoatsu visited Manchester in 1865. There is no information about the places he visited while he stayed in the city of Manchester, but some places can be inferred in connection with businesses he stared after returning to Japan.

<参考文献>
Benjamin Love, “Manchester as It Is”, 1923
George Bradshaw, “Bradshaw’s Hand Book”, 2012 (Old House Books, Facsimile Edition)

  いいね Like