五代友厚 オールダム(1)
Godai Tomoatsu, Oldham (1)

プラット・ブラザース社の紡績機械
プラット・ブラザーズ社の紡績機械カタログ Spinning Machinery Catalogue, Platt Bros. & Co. (The Illustrated London News, 9 August 1862)

五代友厚らが薩摩藩のために購入した紡績機械は、イギリスのプラット・ブラザーズ社(Platt Bros. & Co.)製のものである。プラット・ブラザーズ社は世界最大手の繊維機械製造会社で、マンチェスター(Manchester)近郊の町オールダム(Oldham)に工場があった。五代らは慶応元年(新暦1865年)夏に初めてマンチェスターを訪れ、約3ヶ月後に再びマンチェスターに出向き、慶応元年11月23日(新暦1866年1月9日)に購入契約を交している。

購入した機械一式には、プラット・ブラザーズ社製品のほか、べリスフォード・エンジニアリング社(Berrisford Engineering Co.)の織機(looms)やレン&ホプキンス社(Wren & Hopkins)の軸系(shafting)も含まれていた。契約自体は、マンチェスターのエド・ブラザーズ社(Messrs. Ede Brothers & Co.)を通して行ったようである。

誂え品で生産に数カ月を要したため、薩摩藩の紡績機械をのせたレディー・アリス号(Lady Alice)が出帆したのは慶応2年5月27日(新暦1866年7月9日)であった。船は喜望峰を回り、イギリスを出て約半年後の慶応2年12月16日(新暦1867年1月12日)に長崎に到着した。レディー・アリス号にはプラット・ブラザーズ社の技師ジョン・テトロー(John Tetlow)も同船し、その後鹿児島で機械の据付と立ち上げに携わった。日本初の洋式紡績所の誕生である。

Godai Tomoatsu and Niiro Hisanobu purchased spinning machinery for Satsuma during their staying in Britain. The machinery manufactured by Platt Bros. & Co. of Oldham arrived in Japan in January 1867.

<参考文献>
絹川太一『本邦綿絲紡績史第一巻』1937年
日本経営史研究所編『五代友厚伝記資料 第四巻』 1974年
長谷川雅康「薩摩のものづくり研究 薩摩藩集成館事業における反射炉・建築・水車動力・工作機械・紡績技術の総合的研究 – 平成14年度-平成15年度科学研究費補助金(特定領域研究(2))研究成果報告書」2004-03

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